過去問で受かる登録販売者

関西広域連合の過去問をもとに登録販売者試験の学習範囲を解説しています。

2023(令和5年度)登録販売者試験過去問 第1章(問1~10)

2023年度(令和5年度)の登録販売者試験過去問から、第1章の問1~10を取り上げて”超”詳しく解説していきます。(なお、問題は関西広域連合のものを利用します)

いきなり過去問を解いて勉強できるように構成しています。

 

 

目次

問1     問2   問3   問4   問5   問6   問7   問8   問9   問10

 

 

問1

医薬品の本質に関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。
a 法では、健康被害の発生の可能性の有無にかかわらず、異物等の混入、変質等がある医薬品を販売してはならない旨を定めている。
一般用医薬品には、添付文書や製品表示に必要な情報が記載されているので、販売時に専門家は専門用語を分かりやすい表現で伝えるなどの情報提供を行う必要はない。
c 医薬品は、効能効果、用法用量、副作用等の必要な情報が適切に伝達されることを通じて、購入者等が適切に使用することにより、初めてその役割を十分に発揮するものである。
d 医薬品は、人の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されるなど、その有用性が認められたものであり、使用に際して保健衛生上のリスクは伴わない。

 

<解説>

a 正

ここでの法とは、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(略称:医薬品医療機器等法)を指します。この法律では、健康被害の発生の可能性の有無にかかわらず、異物等の混入、変質等があってはならないと定められています。

b 誤

たしかに一般用医薬品には添付文書や製品表示に必要な情報が記載されていますが、それだけでは内容の誤解や理解不足が生じかねません。販売時には登録販売者または薬剤師が専門用語を分かりやすい表現で伝えるなどの工夫が必要です。

せっかく専門家を置いているのにわかりやすい説明が不要ってことはないですし、それをわざわざ試験で答えさせるのはナンセンスです。

c 正

 文中にもある通り、医薬品は効能効果・用法用量・副作用等の必要な情報が適切に伝達されて、購入者等が適切に使用することにより、初めてその役割を発揮します。「すべてのものは毒であり、毒でないものはない。用量だけが毒でないことを決める。」という言葉がありますが、どんな物質も必要な情報のもと用法を守って使用しないと毒となります。

d 誤

cの解説の通り、医薬品含めこの世の全ての物質は利用方法によっては保健衛生上のリスクを伴うため、正解は「誤」です。なお、人の疾病の診断に用いられるのは多くが一般用検査薬と呼ばれるもので、例として尿糖・尿たんぱく検査薬や妊娠検査薬があります。予防に利用される医薬品の例としては、滋養強壮の効果を持つ薬品などがあげられます。例えばビタミンB₁₂は赤血球の形成を助ける作用を持ちますが、これは何らかの症状の改善を目的にするというよりは、ビタミンB₁₂の不足による貧血等の症状を”予防”しています。

 

 

 

問2
医薬品のリスク評価に関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。
a 医薬品は、治療量上限を超えると、効果よりも有害反応が強く発現する「中毒量」となり、「最小致死量」を経て、「致死量」に至る。
b 医薬品は、少量の投与でも長期投与されれば慢性的な毒性が発現する場合がある。
c ヒトを対象とした臨床試験の実施の基準には、国際的にGood Clinical Practice(GCP)が制定されている。
d 医薬品の製造販売後の調査及び試験の実施の基準として、Good Vigilance Practice(GVP)が制定されている。

 

a 正 b 正

どんな物質も、規定の量以上を摂取すると毒となります。医薬品とは基本的に体内で”自然に”起こっている何か(入ってきたウイルスを追い出すための自然な機構である炎症反応など)を止めるものですから、比較的身体に害になりやすくなっています。医薬品でもたらされる作用のうち、身体への(良い)効果よりも有害反応である副作用の症状が強く現れるとそれが中毒量で、治療量上限を超えたことになります。それより多いと最小致死量、致死量と呼び方が推移していきます。

治療量上限を超えるんだから有害なのは間違いありません。中毒量、最小致死量、致死量の順にやばさが増していくのは直感で理解できます。

c 正

ヒトを対象とした臨床試験ではGCP(Good Clinical Practice)が利用されます。よく比較されるのはその前段階である動物実験のGLP(Good Laboratory Practice)です。他にも試験の略称が出てきますが、この2つが比較対象になるので注意して覚えておきましょう。臨床は人相手なのでClinical。いつもクリニックで診察を受けますよね。動物実験は実験室(Laboratory)で行われるのでGLPです。

ちなみに人を人類というより1つの生物種として見るとき、ヒトというカタカナ表記になります。区別は出来なくて大丈夫です。

d 誤

医薬品の製造販売後の調査及び試験の実施の基準はGPSP(Good Post-marketing Study Practice)、製造販売後の安全管理基準がGVP(Good Vigilance Practice)です。この2つが対になって出題されます。どちらも製造販売後の基準ですが、GVPは医薬品の製造販売業に携わる場合必ず必要な安全管理についてなのに対し、GPSPは販売時点で必須ではなく、製図販売後の調査・試験が必要になった際に定めるものです。

 

GPSP=調査・試験するなら必要 GVP=必ず必要な安全管理基準

 

 

 

問3
健康食品に関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。
a 「特定保健用食品」は、身体の生理機能などに影響を与える保健機能成分を含むものであり、特定の保健機能を示す有効性や安全性などに関して、国への届出が必要である。
b 「栄養機能食品」は、国が定めた規格基準に適合したものであれば、身体の健全な成長や発達、健康維持に必要な栄養成分(ビタミン、ミネラルなど)の健康機能を表示することができる。
c 「機能性表示食品」は、事業者の責任で科学的根拠をもとに疾病に罹患した者の健康維持及び増進に役立つ機能を商品のパッケージに表示するものとして国に届出された商品である。
一般用医薬品の販売時には、健康食品の摂取の有無について確認することは重要で、購入者等の健康に関する意識を尊重しつつも、必要があれば健康食品の摂取についての指導も行うべきである。

 

a 誤

特定保健用食品はあくまで食品です。医薬品は品質や有効性も重要視されているのに対し、食品は安全性の確保のみ規制対象となります。特定保健用食品消費者庁への申請でマークを得るものの、「身体の生理機能などに影響を与える保健機能成分を含む」「有効性を国に届け出る」と言い切ってしまうのは不適切です。

食品は安全性が保証されても効能の保証を断言することはできません。表示するだけ。

b 正

特定保健用食品と同様に、食品なので栄養成分の健康機能を”表示”するに留まります。栄養機能食品だから栄養成分の健康機能を“表示”。そのままですね。

c 誤

繰り返しです。承認申請を消費者庁に対して行います。国の機関であり、事業者ではありません。

d 正

健康食品は食品のため、その有効性については保証されていませんが、例えばビタミンを含んでいる健康食品というのは事実としてあるかと思います。消費者が購入しようとしている一般用医薬品もビタミンを含んでいると過剰摂取になってしまうかもしれません。どんなものも、摂取量が基準値を上回れば毒になります。気をつけましょう。

 

 

 

問4
セルフメディケーションに関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ
選べ。
世界保健機関(WHO)によれば、セルフメディケーションとは、「自分自身の健康に責任を持ち、中程度の身体の不調は自分で手当てすること」とされている。
b 急速に少子高齢化が進む中、持続可能な医療制度の構築に向け、医療費の増加やその国民負担の増大を解決し、健康寿命を伸ばすことが日本の大きな課題であり、セルフメディケーションの推進は、その課題を解決する重要な活動のひとつである。
c 平成29年1月からは、適切な健康管理の下で医療用医薬品からの代替を進める観点から、条件を満たした場合にスイッチOTC(Over The Counter)医薬品の購入の対価について、一定の金額をその年分の総所得金額等から控除するセルフメディケーション税制が導入された。
セルフメディケーション税制については、令和4年1月の見直しにより、スイッチOTC医薬品以外にも腰痛や肩こり、風邪やアレルギーの諸症状に対応する一般用医薬品が税制の対象となっている。

 

a 誤

正しくは「中程度→軽度」です。健康に関する定言をしているのは大体が世界保健機関(WHO)で、そこでは「自分自身の健康に責任を持ち、軽度の身体の不調は自分で手当てすること」であるセルフメディケーションが提唱されており、近年関心が高まっています。

中程度の不調を自分で処理してしまうのはまずそうですよね。

b 正

先述のように自分自身の健康に責任を持ったり、軽度の体調不良を自分で手当てするセルフメディケーションを実現することは、医療費の削減に繋がります。現在少子高齢化に伴う年金問題が取り沙汰されていますが、年を取ると身体の不調が起こりやすいという人間としての特性上、少子高齢化は医療費負担の増加にも影響します。国民の健康意識を向上させておくことは、この医療費増大を少しでも和らげることに役立ちます。

c 正 d 正

OTC医薬品とは、薬局で処方箋なしに購入できる一般用医薬品のうち、”over the counter”つまり薬局のカウンターの向こうで買うもの(商品棚には並んであらず、カウンターで注文しなければならないもの)を指しています。昔は薬は当たり前のように医師に処方されるものでしたが、セルフメディケーションの考え方もあいまり、軽度の症状であれば市販の医薬品を購入して自分で対処できるようになっています。このときに、「スイッチOTC医薬品の他、風邪やアレルギーの症状に利用する」などの条件を満たせば、一定の金額をその年分の総所得金額等から控除することが可能です。医療用医薬品からの移行がセルフメディケーションに乗っ取っていることから、セルフメディケーション税制と呼ばれます。なお、スイッチOTC医薬品とは、元は医師からの処方箋が必要な医療用医薬品だったものの、OTC医薬品へと移行(スイッチ)したものを指します。

 

 

 

問5
アレルギーに関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ選べ。
a 外用薬によって、アレルギーが引き起こされることはない。
b 医薬品の有効成分だけでなく、薬理作用がない添加物も、アレルギーを引き起こす原因物質となり得る。
c アレルギーと体質的・遺伝的な要素は関連がないため、近い親族にアレルギー体質の人がいたとしても注意する必要はない。
d 医薬品の中には、鶏卵や牛乳等を原材料として作られているものがあるため、それらに対するアレルギーがある人では使用を避けなければならない場合もある。

 

アレルギーとは身体にとっての異物を追い出すための反応を指しています。例えば卵アレルギーの人は、身体が間違って卵を危険なものと判断してしまうために、その成分を追い出したり体内で処理することに必死になってしまい、炎症が起こったり咳くしゃみが止まらなくなります。

a 誤

外用薬であろうと、医薬品としての効用がある時点で、皮膚から成分が体内に浸透しているはずですので、それを異物と認識してしまえばアレルギー症状を呈します。

b 正

薬理作用のない添加物とは、有効成分が溶けやすくしたり、逆に胃に到達するまで解けないようにコーティングしたりするために利用されます。しつこいですが、どんな物質であろうと身体が異物と認識すればアレルギー反応が起こります。

c 誤

アレルギーには体質的・遺伝的要素もあります。アレルギー反応に関わる免疫関連の細胞のバランスが崩れている人はアレルギーを起こしやすい、つまりアレルギー体質だということになります。細胞のバランスなどは頻繁に遺伝によって左右されており、例えばアレルギー性鼻炎を抱えている親の子は、そうでない子供よりもアレルギー性鼻炎に罹患するリスクが約4倍になるとされています。ただし、遺伝の詳しいメカニズムは明らかになっていません。

d 正

風邪薬には細菌を溶かすためにリゾチームという成分を含んでいるものがありますが、このリゾチームは卵の白身の成分でもあります。もちろん鶏卵や牛乳のような主要なアレルギー源をわざわざ薬に利用することは少ないですが、薬効のある成分がたまたまアレルゲン(アレルギー源の物質)に含まれる物質と類似していて、アレルギー反応が生じることは十分に考えられます。

 

 

 

問6
医薬品の不適正な使用と副作用に関する記述の正誤について、正しい組合せ
を一つ選べ。
a 医薬品の不適正な使用は、概ね使用する人の誤解や認識不足に起因するものと、医薬品を本来の目的以外の意図で使用するものに大別することができる。
b 人体に直接使用されない医薬品であっても、使用する人の誤解や認識不足によって、使い方や判断を誤り、副作用につながることがある。
c 医薬品の長期連用により精神的な依存がおこり、使用量が増え、購入するための経済的な負担が大きくなる例が見られる。
d 医薬品は、その目的とする効果に対して副作用が生じる危険性が最小限となるよう、使用する量や使い方が定められている。

 

a 正

問題を簡潔に言い換えると、「医薬品の不適切使用には、意図的でないもの(誤解や認識不足)と意図的なものに分けられる」となります。もちろん意図的か意図的でないかの2通りしかありません。

なお、「副作用」は適切な量のみ摂取している中生じる症状を指しており、医薬品を不適切使用したために不都合な症状が生じても、それは副作用ではありません。

b 正

人体に直接使用されない医薬品の例には殺虫剤が挙げられます。殺虫剤も医薬品なので間違わないようにしましょう。これは人体には直接使用されませんが、殺虫スプレーを誤って吸い込んでしまうと身体に害があるのはご存知でしょう。このように、人体に向けていなくても人体に副作用が生じる可能性は十分にあります。

c 正

違法薬物をする際に、一度手をつけてしまうと精神的にも身体的にも依存してしまう。さらに使用し続けると効果が感じられなくなってきて使用量がどんどん増えていく、という話を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。一般用医薬品の場合は、純粋に「大切な時に起こる頭痛が怖くて薬が手放せない」といった例もありますが、市販の医薬品の中にも大麻と似た成分が少量とは言えど含まれていることもあり、病的な意味での依存にも注意が必要です。

d 正

本文は全て正しいです。医薬品としての(良い)効果と副作用とのバランスを取ることが重要なので、過剰摂取は副作用が強くなるようにバランスが傾いてしまいます。抗がん剤などは、副作用が内容量にしてしまうと良い効果もなくなってしまうために、患者さんの体力などとも相談してこのバランスを伺うことになります。

 

 

 

問7
一般用医薬品の適正使用に関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ
選べ。
a 手軽に入手できる一般用医薬品を使用して、症状を一時的に緩和するだけの対処を漫然と続けているような場合には、適切な治療の機会を失うことにつながりやすい。
b 指示どおりの使用量であれば、一般用医薬品を長期連用しても、医薬品を代謝する器官を傷めることはない。
c 青少年は、薬物乱用の危険性に関する認識や理解が必ずしも十分でないため、身近に入手できる薬物を興味本位で乱用することがある。
d 適正に使用された場合は安全かつ有効な医薬品であっても、乱用された場合には薬物依存を生じることがある。

 

a 正

例えば頭痛が1ヶ月続いているとします。その間頭痛薬を使用し続けたら、症状は緩和し続けられるかもしれませんが、本当は重大な病気の症状だったのに見落とすきっかけになりかねないですよね。生理痛をずっと薬で抑えて我慢していたら子宮内膜症だった、なんてのは最近よく聞くようになった例です。痛みが生じているということは少なからず身体の中で異常が起こっているはずです。その痛みが止まないときは、痛みを抑える方法もそうですが、まずは原因を突き止める方向に考えることが必要です。

b 誤

薬というものは総じて少なからず身体に害です。摂取した薬は身体の中で分解されます(ずっと体内にのこっているわけにはもちろんいきません)が、それは本来普通に生活している中で多用する機能ではありません。その、普通は酷使しない機能を使い続けると、分解を担当する身体の部位が痛んでしまったり、薬品の分解でキャパオーバーした臓器が本来の役割にエネルギーを割けなくなりかねません。薬の長期摂取は控えるべきです。

c 正

乱用と一言で言われていますが、先輩に勧められて薬を乱用してしまうタイプだけでなく、純粋な知識不足で、「思ったように薬が効かないからもっと飲めばいいんだ」といった誤った考え方をしてしまう可能性もあります。もちろん大人の薬物乱用も重大な問題ですが、青少年の方がその後に対する考えが十分でないまま危険な道に走ってしまいやすいのも事実です。

d 正

薬品には”依存性”や、そこまでではないが薬の習慣的な服用に繋がる”習慣性”をもつものが一定数あります。薬の錠数が増えれば摂取する依存性物質や習慣性のある物質の合計量が増えるので、乱用によって薬物依存が助長されかねません。

 

 

 

問8
他の医薬品との相互作用に関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ
選べ。
a 医薬品の相互作用は、医薬品が吸収、分布、代謝又は排泄せつされる過程で起こり、医薬品の薬理作用をもたらす部位において起こることはない。
一般用医薬品のかぜ薬(総合感冒薬)やアレルギー用薬では、成分や作用が重複することが多く、通常、これらの薬効群に属する医薬品の併用は避けることとされている。
一般用医薬品の購入者等が医療機関で治療を受けている場合には、一般用医薬品を併用しても問題ないかどうか、治療を行っている医師若しくは歯科医師、又は処方された医薬品を調剤する薬剤師に確認する必要がある。
d 複数の医薬品を併用した場合、医薬品の作用が減弱することはあるが、増強することはない。

 

a 誤

医薬品の相互作用は、「医薬品が吸収、分布、代謝又は排泄せつされる過程」で起こり、「医薬品の薬理作用をもたらす部位」でも起こります。極端な例で言えば、カフェインを多量に含んだエナジー飲料を飲んだ後に、カフェインの含まれた眠気防止の市販薬を飲んでしまうと、カフェイン過多になって、カフェインの作用が強く出過ぎたり、副作用を招いたりします。胃酸の分泌を増強させる薬と抑える成分の入った別の薬を飲んでしまっては薬理作用が打ち消し合ってしまいます。このように、薬理作用の観点からいっても相互作用は起こります。

b 正

風邪薬は総合感冒薬の言葉からも分かるとおり、解熱鎮痛成分や去痰成分を始め、一通りの風邪症状に効果のある成分が色々混ざっています。つまり、風邪薬の網羅範囲が広すぎて、他の色んな薬と守備範囲が簡単に重なってしまうのです。重なると相互作用により作用の増強のしすぎや副作用の発生リスクが上昇します。よって風邪薬と、作用が似ている別の薬の併用は避ける必要があります。

c 正

薬の守備範囲が重なってはいけないのは、一般用医薬品同士だけでなく、医療用医薬品と一般用医薬品の場合も同様です。どの組み合わせであったとしても、同様の成分を含んでいた場合に相互作用が起こって期待しない症状を招く可能性があるため、医師や薬剤師への、服用薬の確認またはお薬手帳の確認などが必要です。

d 誤

aの解説同様、2つの薬にカフェインなどの同じ物質が含まれていたら作用の増強を招きます。反対に、胃液分泌を抑える薬と増強させる薬を併用すると効果が半減してしまいます。

 

 

 

問9
食品と医薬品の相互作用に関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ
選べ。
a カフェインを含む総合感冒薬と、コーヒーを一緒に服用しても、カフェインの過剰摂取になることはない。
酒類(アルコール)は、医薬品の吸収や代謝に影響を与えることがある。
c 生薬成分が配合された医薬品とハーブ等の食品を合わせて摂取すると、その医薬品の効き目や副作用を増強させることがある。
d 外用薬であっても、食品によって医薬品の作用や代謝が影響を受ける可能性がある。

 

a 誤

問8aの解説と同様です。カフェインに限らず、過剰摂取は相互作用により身体に悪影響を与えます。

b 正

お酒を飲み過ぎると肝臓が悪くなる、と聞いたことがないでしょうか。これは肝臓でお酒のアルコールが無毒化されているからで、このとき肝臓は無毒化のために活発に活動しています。この状態で薬品が入ってくると、医薬品の体内での処理も通常よりも高速で起こります。すぐに医薬品が分解されてしまって効果がなくなったり、逆に肝臓でいじられすぎて作用が大きくなりすぎたりと、薬品の吸収(消化管から吸収して血管などに取り込むこと)や代謝(生体内での全ての化学反応の総称)が変化します。

c 正

所謂生薬のうちには、医薬品の効能が表記されておらず、ハーブなどの形で食品として流通しているものもあるため、これと生薬配合の医薬品を同時摂取すると、同じ効能の物質を双方から得る過剰摂取が起こります。これでは相互作用により作用や副作用が増強しかねません。

d 正

外用薬であっても、皮膚や粘膜から薬品の成分が浸透して身体に影響を及ぼしているので、口から摂取した食品と、皮膚から浸透した成分が体内で相互作用を起こす可能性は十分に考えられます。

 

 

 

問10
小児等への医薬品の使用に関する記述の正誤について、正しい組合せを一つ
選べ。
a 小児の血液脳関門は未発達であるため、吸収されて循環血液中に移行した医薬品の成分が脳に達しやすい。
b 小児では、大人と比べて身体の大きさに対して腸が長いため、服用した医薬品の吸収率が相対的に高い。
c 乳児向けの用法用量が設定されている医薬品であっても、乳児は医薬品の影響を受けやすく、また、状態が急変しやすいため、基本的には医師の診療を受けることが優先され、一般用医薬品による対処は最小限にとどめるのが望ましい。
d 医薬品の販売に従事する専門家は、年齢に応じた用法用量が定められていない医薬品の場合には、成人用の医薬品の量を減らして小児へ与えるように保護者等に説明すべきである。

 

a 正

血液脳関門とは、体中に張り巡らされた血管から、脳の血管に入るときに通過する門を指しています。脳はとても敏感で脆弱な器官なので、脳血管を通過できる物質は限られていますし、通常薬の成分はこの血液脳関門を通過することは出来ません(つまり通常の薬品は脳に作用しません)。しかし、小児はこのフィルター機能が十分に機能しないために、脳に影響してはいけない薬品が脳に作用してしまいやすくなります。

b 正

小児の身体はもちろん大人よりも小さいですが、だからといって身体の小ささと同じくらい腸も短いと、普段の食事の消化が十分に行えません。そのため、相対的に腸が長いことになります。薬の吸収は主に省庁で行われるため、必要以上に薬品を吸収してしまうのです。正確には、小児がたくさん吸収してしまうのではなく、大人より少ない量でいいのに大人と同じように吸収してしまうため問題になります。

c 正

bで述べたとおり、小児、中でも乳児は身体の大きさに対する相対的な腸の長さが長いため、薬品が効きやすく、乳児用の容量が決まっていたとしても個人差なども出やすく、注意が必要です。また、問題文にもあるとおり、乳児は急変を起こしやすいため、少しの体調不良でも軽く見ずに、早めに医療機関を受診することが必要です。

d 誤

子供用の容量が記載されていない大人用の薬品とは、子供に投与してはいけない成分が含まれている薬をさしています。量を減らせば飲んでいい場合はきちんと記載されています。記されていない=飲んではいけないです。一例ですが、某頭痛薬は子供に飲ませた場合にのみ”インフルエンザ脳症”という非常に重篤な病気を引き起こす可能性があり、量に関係なく子供は服用不可となっています。